2220187月
母篇 第4話 妊娠中のお口トラブル歯肉炎①-2

母篇 第4話 妊娠中のお口トラブル歯肉炎①-2

妊娠性歯肉炎を予防しよう

妊娠中は子宮が胃を圧迫して一度に食べられる量が限られてしまい、食事の回数が増えて口内が汚れやすくなります。加えて、つわりの影響により口の清掃が行いにくいことやホルモンの影響などもあって、平常時に比べて歯の周りのはぐきが腫れる「歯肉炎」にかか
りやすいと報告されています。


はぐきが腫れていても赤ちゃんには無関係!?

実はそうではないようです。腫れたはぐきを火事に例えると、火事で生じた煙や灰がお腹の赤ちゃんに悪さをして低体重出産や早産の原因になる事が報告されています(※1)。
妊娠中のお母さんのはぐきに火事が起こっていないことが望ましいのですが、実際はほとんどのお母さんの歯ぐきに多かれ少なかれ火事が起こっているのが現状です。


なぜ、はぐきに火事が起こるのでしょうか?

1965年にハロルド ルー(LOE Harald)という学者がぶっ飛んだ研究をしました。12人の健康なはぐきを持った学生に、ルーはとんでもないことを言ったのです。「単位が欲しかったら20日間歯を磨くなYO」。不幸な学生たちの口の中には日に日に歯垢がたまって、はぐきにはどんどん火事が起こり、20日後にピークに達しました。
ルーはそこでこう言います。「今日から歯をみがけ」と。歯垢を取り除くと火事は瞬く間に消えて、学生たちのはぐきは健康な状態に戻りました。

ルーは後日論文にこのように記しました。
・歯垢がたまると火事(歯肉炎)が起こる
・歯垢を取り除くと火事(歯肉炎)は消える(治る)
ルーの型破りな研究によって歯肉炎の原因は歯垢であることが分かり、それ以降の歯科医学が大いに発展しました。今やルーは、歯科関係者なら知らない人はいないほどの英雄です(※2)。

漠然と歯を磨くのでは火事は消えません。はぐきに接している歯の表面の菌の膜を歯ブラシの毛を使ってしっかりと剥がすことが、歯肉炎の治しかたなのです。


引用
(※1)Han, Y.W. Can oral bacteria cause pregnancy complications? Women’s Health. 2011:7: 401-404.
(※2)LOE H,.et.al. Experimental gingivitis in man. J Periodontol. 1965 ;36:177-87.



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