220186月
母篇 第2話 妊娠と歯科治療

母篇 第2話 妊娠と歯科治療

今回のテーマ「妊娠と歯科治療」について、歯科衛生士で2子の母である高野雅子さん(顔写真)が妊娠中のお母様方へメッセージをくださいました。

みなさん、こんにちは、歯科衛生士の高野です。

みなさんはどのような時に、歯ぐきから血が出ますか?
歯ぐきからの出血は、身体の調子の変化の一つのサインといえます。
特に妊娠期・産褥期は女性ホルモン分泌量の変化により、歯ぐきからの出血や腫れが起こりやすくなります。歯みがきを丁寧にしていても、身体の調子の変化で歯ぐきからの出血が起こります
「歯ぐきからの出血」というサインに気づかずにいると、じわじわとゆっくり進行する“歯周炎”(歯を支えている骨を溶かす)になることもあります。

「妊娠中に歯科に通ってもいいの?」とご質問をよくうけますが、妊婦さんだからこそ必要なケアや適切な治療があります。
まずは、歯のクリーニングを受けられることです。そうすることで、歯ぐきの出血を止めて傷口を治すことができます。
それらの処置は、様々な口内細菌が血液を介して全身へと巡ることを防ぐことに繋がります。
以前は胎盤の細菌たちについてよくわかっていませんでしたが、近年では「胎盤の細菌たちと口内の細菌たちは最も類似している」と明らかになっています。口の中を清めると赤ちゃんが飲む羊水も清らかになるということです。

細菌たちはひそやかに見えない世界で働いてくれていて、沢山の恩恵をもたらしてくれていますが、時に強烈なサインを出して『身体の調子の変化』という形で知らせてくれていることもありますね。

オススメするのは『歯ぐきの出血』というサインから、ご自身の生活スタイルを振り返ってみることです。
食生活や生活環境、ご自身の心や内面の調和、お口や身体の声に意識を向けて、ゆったりと見つめてみてはいかがでしょうか。
「自分がどう生きていくのか」「子どもに何を伝えていくのか」と想い巡らせることが、親になる準備のはじめの一歩なのかもしれません。

お読みいただき、ありがとうございました。

出典
Kjersti Aagaard.et.al 『The Placenta Harbors a Unique Microbiome』 www.ScienceTranslationalMedicine.org 2014 Vol 6 Issue 237


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